「将来の不安と、親に迷惑をかけない方がいいと言われて、とりあえず月3万円の積立保険に入ったんです…」
これは先日相談にきた、30代の独身の会社員の方が言った言葉です。
そして、彼はこう続けました。
「十分説明を聞いて入ったはずなのに…。
本当にこの保険は自分に必要だったのか分からないんです…。」
「思ったよりも、月3万円の負担は大きいなと思ってしまって…。」
僕はこれまで1000人以上の相談の中で、多くの方からこの言葉を聞いてきました。
- 貯金より増えそう
- 保障もつく
- “なんとなく良さそう”
だから、何もしないよりは良い気がする──。
そんな理由で保険を契約する人が多い。
でも多くの人が、契約をした後に不安に思ってしまう。
ネットやYoutubeなどの情報を見て保険に対してネガティブな情報が多いからです。
「本当に自分に必要なのだろうか…。」
このように不安に思ってしまう人はたくさんいます。
不安が消えない理由は、「保険のよくある落とし穴」にあった
保険の相談に来た方の多くは、同じ失敗をしています。
それは──
まずはお試しで保険の話を聞いてしまうこと
実は、これこそがよくある落とし穴なんです。
なぜか。
それは、保険の話を聞くと、必要前提で話が進んでしまっていくからです。
例えば、レストランに入ったとき。レストランの店員が「お腹空いていますか?」とは聞きませんよね。
保険も同じ。
保険の説明を聞きに来たということは、保険の営業マンは基本的に「あなたが保険が必要な前提」で話を進めます。
でも、ここで考えて欲しいです。
保険って何かに備えるものなんです。
でも、備える必要のある「何か」が無いと、そもそも保険に入る必要はないですよね。
保険は、あなたが備えたいものに備えるために、敢えてコストを支払って守られるものなんです。つまり、保険には備えるものが無いと、無駄なコストを支払い続けることになる。
保険の必要性の有無を判断せずに、保険が必要な前提で話が進んでしまう。これが問題なのです。
まずはこれを頭に入れる必要があります。
説明を先に聞くと「必要前提のストーリー」に引き込まれてしまう
では、警戒して保険の話を聞きに行ったときはどうか。
それでも、いきなり保険の話を聞いてしまうと、どうしても「保険は必要」と思うようになってしまいます。
なぜか。
それは、保険の話はリスクに備えるための話なので、
- もしもの「万が一」の話
- 専門用語
- 専門家との知識差
の話が多くなるからです。
特に、専門家との知識差によって引っ張られ、「保険は必要なんだな」と思ってしまうことが多い。そう思うと、どんどん話は進んでいきます。
- 積立型保険が良いか、掛け捨て保険が良いかという比較。
- A社とB社の保険のどちらが良いのかという比較。
こういう比較を始めると、
「自分には必要そうかも…。」
と思うようになって契約をしてしまう。
でもここで考えて欲しいんです。
あなたが保険の話を聞きたいと思ったのは、保険に入ろうと思っていたからでしょうか?
違いますよね。
あなたが話を聞こうと思ったのは、「そもそも保険が必要なのかを判断したかったから」ですよね。
でも、最初に保険の話を聞いてしまうと、「自分には本当に保険が必要なのか」という大切な問いが抜け落ちるのです。
そのため、いつまで経っても不安が消えなくなります。
「自分は何のために保険に入るのか?」という“自分軸”
じゃあ、どうすればいいのか?
やることは一つ。
保険に対しての自分軸を整理するんです。
具体的には、
「何のために保険に入るのか?」
「どのリスクに備えることが自分にとって重要か?」
「どこから保険で備えるか?」
という自分の価値観をちゃんと整理をして、保険とどう付き合っていくのかを考える必要があります。
なぜか。
この自分軸が曖昧だと、いつまでたっても保険に対する方向性が定まらないからです。
逆に、自分軸さえ整えば、保険がそもそも必要かどうかを判断できるようになるのです。
自分軸を整えるための方法:「保険選びの3ステップ」
じゃあ、具体的にどのようにして自分軸を整理すればいいのか。
それは、これから紹介をする保険選びの3STEPを実践すればいいのです。
実は、1000人以上の相談の中で、保険に納得して入っている人には、ある共通点がありました。
それは
「あることを順番どおりに考えていくと、保険に対する自分軸が勝手に浮かび上がる」
ということ。
そこで僕は、自分軸を整え、保険の迷いを消すための方法を3つのステップにまとめました。
紹介しますね。
【迷わない保険選びのための3ステップ】
STEP1:不安を全部書き出し、「発生頻度」×「経済損失」で整理をする
まずは、自分が不安に思っていることを書きましょう。
例えば、
- 老後の生活が不安
- 働けなくなったときの収入減少が不安
- 病気になったときのお金が不安
- 自分に万が一のことが起きたときに、家族に迷惑をかけないか不安
人の不安は「曖昧なまま」では消えません。まずは「どんな不安があるのか」を言語化することで、自分が何を大切にしていきたいのか、何が心配なのかが分かるようになります。
そして、挙げた不安を「発生頻度」と「経済損失」で整理します。
例えば、今回の相談者の方(30代の独身の会社員の方)は、
- ①万が一のことが起きたときのお金の心配
- ②病気になったときの入院費が心配
- ③働けなくなったときのお金の心配
の3つに不安がありました。
これらを整理すると、下記のような図になります。

ここで注意しなくてはいけないのが、この「発生頻度」と「経済損失」の図は、人の状況や年齢によって変わるということです。今回は独身の方ですが、もしお子さんがいる方でしたら、万が一のことが起きたときのお金の心配の「経済損失」は大きくなりますよね。
こうやってあなたが不安に思っていることを整理してください。数値・事実・影響で整理すると、自分の不安に感じていることのリスクが見える化します。
説明すると難しいように思いますが、実際にやってみるとすぐにできます。
STEP2:国や会社の制度(公助)を確認する
次のステップは、国の制度や会社の制度をチェックします。
例えば、医療費でしたら、高額療養費制度があるため、年収によっては大きな医療費は必要ありません。また、長期入院をしても、会社員の方でしたら傷病手当金などがあります。
また、会社員の方でしたら、自分の会社の福利厚生を確認することも大切です。保険証を見て、保険組合のHPを見て確認してください。例えば、会社によっては、入院費の援助をしてくれるところもあります。ただ、たくさんのお客様から話を聞いてみると、会社の福利厚生があるところはまれです。会社の福利厚生が有ったらラッキーと思いましょう。
こうやって、公的保障や会社の福利厚生を見ると、実は守られている部分は、想像以上に多いんです。
ちなみに、これを先ほどの相談者(30代の独身の会社員の方)に当てはめてみると、
- ①万が一のことが起きたときのお金の心配:会社の福利厚生で弔慰金が5万円でる。
- ②病気になったときの入院費が心配:国の高額療養費制度で月10万円以上は行かなそう。1か月入院して1日1万円の個室を選んだとしても、1か月でも最大50万円程度で済みそう。
- ③働けなくなったときのお金の心配:国の制度の傷病手当金で、1年半までは基本給の2/3が支給される。
というようになるという話をしました。
相談者の方は
「えっ!医療費って1か月ずっと個室に入院しても、50万円程度なんですか?僕はもっと安い大部屋でも大丈夫なので、そうなると、10万円程度にしかならないなんてビックリです!」
と言っていたのが印象的でした。
STEP3:保険以外の方法を考える。
次に考えるのが、保険以外の方法を考えることです。もし自分の不安に思うことが起きてしまったときに、自分でできることは無いかを考えます。
例えば、今自分が貯めている貯金でも備えることができますよね。家族にも助けてもらうこともできます。
今回の相談者(30代の独身の会社員の方)には、下記のように伝えました。
- ①万が一のことが起きたときのお金の心配:貯金で葬式代とお墓代は貯まっている。
- ②病気になったときの入院費が心配:今の貯金で3カ月程度の入院は備えられる。
- ③働けなくなったときのお金の心配:療養中は生活費を下げるために、親に相談をして実家に引っ越す。そうなると、親には迷惑をかけるが、医療費とその他の生活費が5万円程度あれば大丈夫そう。
ということが分かりました。
相談者は「確かに、保険以外にもできることは沢山あるんですね。これを考えると、保険でしかできないことに注目できるようになりますね。」と納得の様子でした。
今回の相談者は、今の保険を解約してNISAを選択した
さあ、ようやくこれで保険が必要かどうかを判断する準備ができました。このSTEP1~STEP3までを行って、初めて保険が必要かどうかを判断できるのです。そして、必要な場合のみ、民間の保険を検討するのです。
もし、必要でない場合は、そもそも保険は必要ありません。
こうやって、まずは「そもそも自分にとって保険が必要かどうか」を判断することが大切になります。
ちなみに、今回の相談者の方は、
- ①万が一のことが起きたときの保険は必要ない。
- ②医療保険は必要ない。
- ③就労不能保険のみ、経済的な影響力が大きいので検討に値する。
ということになりました。
まとめると下記の図のようになりました。

そして、③のみ保険の検討をしたんですね。
ここで始めて、保険の相談所に行くと良いんです。だって自分軸で保険の必要性を判断しているからです。逆に言うと、この3STEPをする前に相談しに行っても、自分軸が定まらないため、保険に加入しても不安になってしまいます。
彼はできるだけリーズナブルな就労不能保険を契約し、積立型の保険は解約しました。
この方は、「保険も、そして、投資もおかげさまで納得できました。何となくではなく、自分の価値観に沿って決めることができたので、とても安心しました。」と言っていたのが印象的でした。
3STEPの本質は「自分軸を言語化すること」
この3STEPは、ただ単に保険を選ぶための手順ではありません。
- 価値観
- 自分が守りたいもの
- 優先順位
- 判断基準
こうした“自分軸”が自然と明確になるよう設計されています。
実際、3STEPを終えた方はほぼ全員こう言います。
「選ぶ基準が自分の中にできた気がします」
「保険だけじゃなく、お金全体の不安が軽くなった」
3ステップはあくまで状況を整理して、自分軸で判断しやすくするためのものなんです。
つまり、自分軸を整える道具 であり、本質は“自分自身と向き合うこと”なのです。
自分軸を整理して、そもそも保険が必要かどうかを考えよう
もしあなたが今、
- 今の保険が合っているのかわからない
- 将来のお金がなんとなく不安
- SNSを見ると焦る
- 説明を聞いても腑に落ちない
- 比較するとむしろ不安になる
そのような状態なら、必要なのは「もっと勉強すること」でも「他の保険」でもありません。
必要なのは、
自分の価値観を整理すること=自分軸を整えること。
そして、その具体的なやり方が先ほど紹介した3つのステップ です。
是非取り組んでみてください。
最後に
今回の保険に限らず、投資などのお金の不安は、自分軸で考えることで解決しやすくなります。一方で、自分軸が無いと解決しづらいです。
特に大切なことは、自分軸を整えて、あなたらしいお金の増やし方を考えることです。
これらをもっと深く知りたい人のために、無料のメール講座を作りました。
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