こんにちは、安東です。
このようなご質問・ご相談をよくいただきます。
人生100年時代、老後資金がどれくらい必要なのか気になりますよね。
この記事では、老後資金にはどのようなお金が含まれているのかについて8つの項目を挙げて、老後に備えて何を考えれば良いのか?についてお話しします。
最後までお読みいただければ、老後資金を貯めるために、どんな準備をすればよいのかがきっと分かると思います。
では、いきましょう!
老後資金は収入と支出を分けて考える
老後資金にはどんなお金が含まれているのかを考える前に、まずは一つポイントをシェアしたいと思います。
老後資金は、
- 老後で必要になる支出
- 老後の収入
を分けて考える、ということです。
単に老後資金といっても、お金が出ていく側面だけでなく、入ってくる側面にも目を向けて考えなければなりません。
つい出て行くほうばかりに目を向けてしまいがちですが、大切なことは収入と支出のバランスを見て、老後を安心して豊かに暮らせるか?という視点です。
収入と支出に切り分けて考え、どんな準備をしていけばよいのか?を明確にしていきましょう。
老後資金の特徴「借りられない」
もうひとつ別の側面から、老後資金の特徴を捉えてみたいと思います。
老後資金には、どんな特徴があるのでしょうか?
それは老後資金は借りられないということです。
この借りられないという特徴が、他のお金とは根本的に異なります。
例えば、教育費。子どもの教育費が足りなかったときは奨学金を借りることができますよね?
住宅を購入する場合には、住宅ローンがあります。世の中には、手持ちのお金が足りなかったとしても「借りる」ことができる仕組みが整っています。
しかし、老後資金は借りられません。
そうなると、仮に老後資金が足りなったときに、取れる選択肢が限られているのです。
どんな選択肢があるのか。具体的に取れる選択肢は下記の3つくらいです。
- 子どもや親族からに仕送りをもらう
- 生活保護を受ける
- 長く働く
実際に現場にいる肌感としては、老後資金を用意できていない人は、子どもから仕送りを受けている方が多いように感じます。
実際に僕のところに相談にくる20代~30代の方の中には、月5万円~10万円近く親の老後資金の援助を行っている人もいます。
そういう人は、自分の老後資金を準備するのが難しくて、親の老後の面倒を見ながら自分の老後の心配をしているんですよね。
もちろん、長く働くという選択肢もあるのですが、その時の身体の状態で働けるかどうかが決まるので、それだけに期待するのは危険ですよね。
長く働くという選択肢を取りつつも、しっかり老後資金を準備してくダブルでの備えが大切です。
老後資金は借りられないことを肝に銘じ、今からしっかり学んで準備をしていきましょう。
老後資金に含まれるお金は?8つの項目に分けて考えるべし
では、具体的に老後資金にはどんなお金が含まれているのかを考えていきましょう。
全部で8つあります。
この8つの項目について考えることが、老後資金の準備にとって欠かせません。
前半6つは「支出面」、後半2つが「収入面」です。
それぞれ見ていきましょう。
①老後の生活費
老後資金を考えるうえで、まず始めにくるのが生活費です。
この老後の生活費が、老後資金の大半を占めるからです。
例えば、60歳で退職をして90歳まで生きるとしますよね。すると、30年分の生活費が必要になります。
30年分の生活費を用意するとなると、月3万円生活費が変わっただけで、老後資金が約1000万円近く変わるんですよね。月5万円生活費が変わると、老後資金はさらに1800万円必要になります。
老後の生活費は、生命保険文化センターが公表している値を参考にしてみるとよいでしょう。
生命保険文化センターによると、2022年において、老後夫婦の最低限の生活費は月23.2万円。娯楽なども含めた余裕のある生活費は37.9万円/月とのこと。
このような値を参考にしながら、あなたの今の生活費がどのくらいなのかも参考にして考えてみてください。
老後資金を考えるうえで一番影響が大きくなるのはこの老後の生活費。
影響が大きいからこそ、老後の生活費はしっかり見積もって準備するようにしましょう。
②自分やパートナーの医療費
2つ目は医療費です。
老後の医療費も大きなお金が必要になるからです。
厚生労働省の「主な選定療養に係る報告状況」によると、2022年7月現在では、入院時のベッド代は一日につき平均8322円は必要になります。それに加えて、食事代、洋服代、その他の雑費なども必要になります。
最後は入退院を繰り返すことも多いので、100日くらいの入院費用を用意しておくとよいでしょう。仮に100日入院したとすると、それだけで約100万円のお金が必要になります。
私の祖父母は今93歳の祖父母です。
この年齢で入院となると、本当に最後になるかもしれないと感じます。
よく家族の中では、最後にはゆっくりとした時間を過ごせるように、「できるだけ個室がいいね」と話しています。
言わずもがな、個室を選択するとなるとさらにお金がかかることになります。
このように、あなたが老後をどのように過ごしたいのかによって、老後の医療費として備えておくお金は変わります。
老後資金を考える際には、医療内容を含めた医療費について考慮しておくことをオススメします。
③自分やパートナーの介護費
3つ目は介護費です。
厚生労働省が発表したデータによると、2023年の介護の平均期間は5年1か月。
平均自己負担額は、在宅介護で約292.8万円、施設介護で約744.2万円と言われています。
これが自分とパートナーの分、必要になります。
結構大きなお金ですよね。
介護資金をちゃんと用意していないとどうなるのでしょうか?
自分の子どもや親族に迷惑をかけてしまうかもしれません。
というのも、実際に、僕のところに相談にくる方の中には、親の介護が負担になっている方もいます。
親が介護状態になって、介護が必要になった。しかし、親は介護施設に入るためのお金を用意していなかった。
だから、子どもや親族が仕事を辞めて介護をすることになったが、その分働く時間が減り、収入が少なくなる。収入が少なくなると、介護を手伝っている子どもが老後資金が貯めれなくなり、その人も苦しくなっていく。
こういうことが実際に起きています。
なるべくこうした事態を避けるためにも、自分やパートナーの介護費は自分で用意できるように準備しておきましょう。
④生活インフラの維持のためのお金
生活インフラの維持のためのお金も、老後資金として考えておきましょう。
例えば、家のリフォーム代、家電の修理代、車の買い替え代などです。
特に、車が必要な場所で生活をしている人は、ある程度の年齢まで車が必要ですよね。また住宅も長く住んでいると修繕が必要になってきます。それ以外にも、エアコンを修理するためのお金だったり、キッチンを修理するお金だったりと、生活インフラの維持のためのお金も準備しておく必要があります。
予想外の出費になることが多いからこそ、ちゃんと生活インフラの維持のためのお金を準備しておきましょう。
⑤趣味やレジャーのためのお金
老後資金には、趣味やレジャーのためのお金も準備しましょう。
具体的には、海外旅行、毎年の親族の旅行費用、子どもの結婚式の援助の費用などです。
これらを準備する理由は、趣味やレジャーのお金が無いと、老後の時間が無味乾燥になりすぎるからです。
想像してみてください。老後になると、今まで仕事をしていた時間がほぼ全て自由に使えます。
その時に、まったくお金が無かったらどうでしょうか。もちろん、ゴロゴロしたり、Youtubeを観るなど、あまりお金がかからないのも楽しそうです。
しかし、あなたは本当に老後をそのように過ごしたいのですか?
もし時間もお金もあったなら、少しは別の過ごし方をしたいと思いませんか?
だからこそ、このレジャーのためのお金や趣味のためのお金もしっかり予算に入れておく必要があります。
⑥自分の死後にかかる費用
自分の死後にかかる費用についても、老後資金として考えておきましょう。
例えば、葬式代やお墓代、相続関係のあれこれなど、自分の死後に家族にとって必要になる費用です。
これらをしっかり準備しておかないと、子どもや下の世代に迷惑がかかることになります。
これは僕自身の経験でもあるのですが、このお金をしっかり準備しているかどうかで、遺された家族はかなり救われる部分は多いです。
というのも、父が亡くなったときに、お金があって救われた部分が多かったから。
人が無くなると、まずはすぐに葬式の準備が必要になります。当時はコロナだったので、火葬場の予約が大変な時期でした。
そして、すぐに相続の準備をしたり、お墓の準備をして。
そういう準備をしている間に、病院からの大きなお金の請求がきたり、葬式代やお墓の料金の支払いが必要になったり。
少なくとも300万円は必要になりました。
このときにですね。全く親がお金を残していなかったらどうなるでしょうか?
悲しみの最中、心の余裕がないときだからこそ、お金のストレスだけでも無くすことができると、本当に負担は少なくなります。
当時のことを思い出すと、しっかり僕に相談をして、死後の準備もイメージしてくれていた父には感謝しています。
個人的な経験から言っても、老後資金として自分の死後に必要になるお金も準備しておくことをオススメします。
⑦公的年金
これ以降については「収入面」についても目を向けていきましょう。
老後資金には年金も考慮する必要があります。
なぜなら、自分がどれくらい公的年金を受け取れるのかによって、自分がどのくらい老後資金を準備していくかが変わるからです。
例えば、同じ生活費の人が2人いたとします。一人は会社員で年金が月15万円の人。もう一人は個人事業主の人で年金が月5万円の人。
この2人を比較してみるとどうでしょうか?
この人たちが30年間年金を受け取ったとすると、受け取れる年金総額は、前者は5400万円、一方後者は1800万円です。
このように、年金をどのくらい受け取れるかで、老後のために準備するお金も大きく変わってきます。
自分の場合はどのくらい年金を貰えるのかについてしっかりと計算して、考慮しておく必要があります。
⑧企業から受け取る退職金や企業年金
会社に勤めている方は、会社の退職金や企業年金、確定拠出年金などを確認するとよいでしょう。
これを老後資金として考慮しておくべきなのは、退職金は500万円以上の大きな額になることが多いため、老後資金をどれくらい準備するかが変わってくるからです。
まずは自分の勤めている会社に、退職金や企業年金があるのかを確認するとよいでしょう。そして、これらもどのくらいの金額を受け取れるのかの大体の値を知っておくと、老後資金を把握しやすくなります。
中には会社の退職制度として、確定拠出年金を用意しているところもあります。
このケースだと、退職金がどのくらいになるのかの見通しが立てづらいです。運用しているわけですから、当たり前のことです。
とはいえ、ある程度見通しは立てておきたいところ。今後変わることは前提のもとで、一度現時点での予測を計算して数字を出してみることをおすすめします。
私がやっているFDPというサービスにおいても、この退職金については仮でも構わないので、必ず見通しを立てるようにしています。
もし自分ではなかなか腰が重いという方は、一度FDPを検討なさってみてください。
まとめ
今回の記事では、老後資金にはどのようなお金が含まれているのか、老後に備えて何を考えれば良いのか?について解説してきました。
まず大切な視点は老後資金を「支出」だけでなく「収入」についても目を向けること。
また、その両者のバランスを見ながら老後資金について考えることが大切だということです。
これをふまえた上で、老後資金について考慮すべき8つの項目は、
- 老後の生活費
- 自分やパートナーのための医療費
- 自分やパートナーのための介護費
- 生活インフラ維持のための費用
- レジャーのための費用
- 自分の死後にかかる費用
- 公的年金
- 企業から受け取る退職金や企業年金
になります。
こうやって考えてみると、老後資金はたくさんのことを考える必要があります。
なかなか骨が折れますね…。
とはいえ、これらの項目を具体的に数字で出しておかないと、老後に大変な状況に陥ってしまうかもしれません。
反対に、必要以上に「お金をもっと貯めなければ…」と不安に駆られて、今を心豊かに過ごせなくなるかもしれません。
だからこそ、老後資金はいくら必要なのか?できるだけ数字で出すことをオススメします。
次の記事では、今回紹介した項目を具体的に計算をしていきますので、どうやって計算したらいいのか?について興味があれば、ぜひ参考にしてください。