独身の人は介護費用はどれくらい必要?民間の保険でどう備えるのかも解説

独身の人は介護費用はどれくらい必要?民間の保険でどう備えるのかも解説

20代、30代の独身の方に介護について聞いてみると、

  • 何となく必要だと思っているけど、今は健康なのであまり想像できない
  • 高齢化社会と言われているけれど、本当に介護について準備しておいたほうがいいの?
  • 20代、30代のうちは保険ではなく、もっと経験や投資にお金を使いたい

といった回答が多いですし、私自身、20代の頃は「今から介護について考える必要なんてあるのかなぁ?」と思っていたのも事実です。

しかし、保険の仕事をするようになってから、現在の日本の介護状況を見てみると、独身のうちからしっかり介護について考えておく必要があることが分かりました。

そこで今回の記事では、

  • 今の日本の介護の現状
  • 介護保険は、どんな人に必要なのか

ついてシェアしていきたいと思います。

この記事を書いている私は、MDRT(保険のトップ7%の営業マン)に入っているプロの保険営業マンで5年のFP歴があります。

セミナーやコンサルで延べ1,000人のお金の相談を受けてきた経験を元に、解説していきます。

今回の記事を通して、自分自身の介護について真剣に考えるきっかけになってもらえると嬉しいです。

目次

1.介護になる確率は、男性は3人に1人、女性は2人に1人

まず介護になる確率がどれくらいなのかを見ていきます。

結論から言うと、介護になる確率は、男性は3人に1人、女性は2人に1人です。

介護が必要な割合
出典:厚生労働省「平成30年度 介護給付費等実態調査の概況」(2020年8月27日閲覧)

この図は、平成30年に厚生労働省が発表した「介護給費等実態調査の概況」から抜粋したものです。

年齢別に、どのくらいの確率で介護が必要になっているのかを表しています。

例えば、85歳から89歳に注目してみると、男性では3.4人に1人女性では2.3人に1人が介護を必要としています。

90歳から94歳に注目してみると、男性は2.1人に1人女性は1.5人に1人は介護が必要とされています。

ここまで介護になる人が多くなっているのは、高齢化社会になり、寿命が延びてきているからです。

では、具体的にどのくらい寿命が延びているのかも見てみましょう。

・65歳まで生きた方は、男性は平均19.83歳、女性は平均24.64歳まで生きる

65歳まで生きるかと聞かれたら、多くの人が「そこまでは生きている」と考えるでしょう。

現在、年金の開始時期は65歳からです。

そのため、老後の生活は65歳から始まると考えられます。

下記の図を見てください。

簡易生命表(男性)
出典:令和元年簡易生命表の概況(2020年8月27日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life19/index.html
簡易生命表(女性)
出典:令和元年簡易生命表の概況(2020年8月27日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life19/index.html

この図は、厚生労働省が、2019年に発表した簡易生命表を抜粋したものになります。

簡易生命表とは、その年齢に達した人が、あと平均でどれくらい生きるのかが分かる表のことです。

この簡易生命表から2019年では、65歳の男性はあと平均19.83歳65歳の女性はあと平均24.64歳生きるということが分かっています。

つまり、65歳まで生きた方は平均で、下記の年齢まで生きることが分かっています。

男性:65歳+19.83歳=84.83

女性:65歳+24.64歳=89.63

もちろん、これは平均の数字ですので、統計的に約半分の方はこの年齢以上は生きます。

また、これは2019年の65歳の方の数字です。

今現在、20代や30代の方は、医学の発展等により、さらに寿命は延びると考えられています。

人生100年時代と言われていますが、この数字を見てみると、もうそこまで来ていることが分かります。

繰り返しますが、介護はほぼ誰もが必要になる社会になりつつあります

今現在でも、90歳から94歳の男性の2.1人に1人、女性の1.5人に1人が介護を必要としています。

まずは現状を頭に入れておいてください。

では、ここで何が原因で介護になっているのかを見てみましょう。

原因が分かると、これからどのようなことに備えていけばよいのかヒントを得られます。

・介護になる原因のTOP3は認知症、脳血管疾患、骨の疾患

結論から言うと、介護になる原因のTOP3は、認知症、脳血管疾患、骨の疾患です。

下記の図は、2019年に厚生労働省が発表した「2019年 国民生活基礎調査」の表を抜粋したものです。

この図から、介護になる原因のTOP3が、認知症、脳血管疾患、骨の疾患であることが読み取れます。

介護原因
2019年 国民生活基礎調査の概況(2020年8月27日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html

厚生労働省によると男性は脳血管疾患(主に脳卒中など)が原因で介護になることが多いことが分かっています。

生活習慣病から脳卒中を起こす傾向があると言われています。

一方女性は、関節疾患や骨折が原因で介護が必要になることが多いです。

女性は年齢が上がるにつれて女性ホルモンの分泌が低下することで骨粗しょう症の割合が増え、骨折しやすい傾向があると言われています。

この記事を書いている私は男性なので、脳血管疾患が多いと知ってから、食事に関しては気を遣うようにしています。

特に脂っこく、かつ塩分の多いラーメンは控えるようにしています。

今現在の健康がこれからの将来につながると意識することが大切ですね。

さて、ここまでで介護になる原因も分かりましたが、実際に介護になった時に具体的にどれくらいの介護費用が必要なのでしょうか?

これについても解説します。

2.独身の方が将来必要な介護費用は約1,000万円です

結論から言うと、独身の方が将来必要な介護費用は約1,000万円です。

なぜなら、独身の方は、介護になると施設に入ることが多いため、介護費用が高くなる傾向にあるからです。

具体的にどのくらいの介護費用がかかるかについて見てみましょう。

これについては、平成30年9月に、生命保険文化センターが発表した「生命保険に関する全国実態調査」を参考に算出できます。

「生命保険に関する全国実態調査」によると、介護費用を計算するためには、「介護の初期費用」と「毎月の介護費用」の2つの数値を見ていく必要があります。

これについて、一つ一つ説明していきます。

・介護の初期費用
介護の初期費用とは、介護が必要になった際に、施設の入居時などで必要になるお金を指します。

この介護初期費用は、在宅介護になるのか、施設に入居するのかで値段が変わります。

独身の方の場合は、ほぼ施設等に入ることが多くなります。

「生命保険に関する全国実態調査」から発表されている値を抜粋すると、施設に入居する方の介護の初期費用の平均値は242万円です。

・毎月の介護費用
毎月の介護費用は、在宅なのか、施設に入居するのかで大きく変わってきます。

特に、独身の方は施設を選択する可能性が高いので、その分多くの費用が必要になります。

平成27年に生命保険文化センターが発表した「生命保険に関する全国実態調査」の数値を参考にすると、施設を利用している方の月の介護費用は、平均11.7万円程度となっています。

また、どのくらい介護が必要なのかの期間についても発表されていて、これに関しては平均54.5か月の介護期間が必要になっています。

上記の値を用いて、独身の方が、施設での介護を選択したときにかかる費用を算出すると、下記のようになります。

初期費用242万円+毎月の費用11.7万円×介護必要期間54.5か月≒880万円

今現在でも、これくらいのお金が必要です。

そして、この値は今の寿命におけるものです。

今後寿命が延びるにつれて介護の期間が増えると考えられるので、これ以上お金が必要になることが想定されます。

そのため、少なくとも約1,000万円程度の介護費用の準備をお勧めしています。

さて、ここまで介護の必要資金についてシェアしましたが、この話をするとよくされる質問があります。

それは、「介護費用は貯金で準備していっても大丈夫なのか?」という質問です。

これについても回答していきたいと思います。

・よくある質問:介護費用を貯金で準備していっても大丈夫なのか?

結論から言うと、介護費用は貯金で補うことをお勧めしていません

なぜなら、今現在65歳以上の方の約50%が、貯金700万円以下というデータが出ているからです。

貯蓄金額
※厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」をもとに筆者作成

この図は、厚生労働省が発表した「2019年国民生活基礎調査の概況」を参考にして作成したものです。

この図から、65歳以上の高齢世帯の貯金額を見てみると、約50%の人が700万円以下となっていることが分かります。

実際に700万円以下の貯金となると、老後の生活費を補うことは難しいですし、介護費用の準備も大変になると思います。

もちろん、65歳以降も働いて、経済的なリスクを下げていく選択肢を取ると思いますが、果たして65歳以降も健康的に働くことができるのでしょうか?

そのため、介護に対しての準備法は、

  • 投資で貯めて老後で使う
  • 民間の保険を利用する

という、2択になっています。

そして将来の不確実性を考えると、個人的には、民間の保険での準備を勧めています。

3.独身の方は介護保険が必要です

繰り返しになりますが、独身の方に介護保険は必要です。

なぜなら、自分自身で介護費用を準備する必要があるからです。

そして、今の現状を見てみると、高齢世帯の50%の貯金が700万円以下なので、確実に準備する必要があります。

また、介護費用については今後結婚したとしても自分で準備することをお勧めしています。

今回は詳しく話しませんが、結局自分で介護の準備をしておかないと、そのひずみは家族に降りかかるからです。

現実問題として、配偶者や自分の子供が介護をすると、その分労働収入が減り、経済的に厳しくなっています。

また介護資金を準備していないために、その次の世代も経済的なリスクが増していくという、負の再生産が起きている現状もあります。

そのため、自分の介護費用は、自分で準備をするという認識は、多くの方が持つ必要があると考えています。

4.介護以外にも将来のお金をデザインすることは大切です

この記事をここまで読んでくれた方は、介護費用の重要性に気づいていただいたと思います。

これから介護について準備しようと思った方も多いのではないでしょうか。

ただ、大切なのは、将来必要なお金は介護だけではないということです。

将来は介護だけでなく、医療費、そして将来の生活費も必要になってきます。

そして、まずはそれがどれくらい必要なのかを把握しなくてはいけません。

しかし、実際にどのくらいのお金が必要か把握しようとしても、何をすればよいか分からないと思います。

そこでお勧めしているのが、まず自分自身の家計を改善することです。

今の自分自身の家計を改善して、将来どれくらいのお金が必要かを見積もると、何も考えずに生活した場合と比べて、将来1,000万円は変わります。

私のメルマガでは、実際にコンサルで行っている家計を見直す方法や、保険の考え方、そして投資に対する考え方などを無料で情報発信しています。

これからしっかりお金について考えたいと思っているのでしたら、是非このメルマガを参考にしていただけると嬉しいです。

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